やほほ村

思ったことやディベートのことを書くよ

2020秋JDAクォーター制でのactivism k debateの原稿の公開

2020年の秋JDA大会では国会議員の男女クォーター制が論題になりました。

そこで私はactivism的なkritikをaff/neg両サイドで実施し、そのうえでこのブログで関連する記事なんかも書いてみました。

 

acitivism debateってのは、要するにディベートの試合を通じて実際に社会を変えてやるぜというディベートのやり方のことです。

大きな特徴としてはだいたい、①選手は個人の主張を試合でぶつける、②ジャッジは自身のvoteが社会に与える影響を考慮して判定するよう選手に求められるというところでしょうか。

まあ詳しくは下記の記事を見てみて下さい。我田引水です。(みんながクリティークについて記事を書いてくれないせいです。責めないでください!)

 

 

さて、昨今の日本のディベートの状況を見る限り、activism debateの理論的もしくは実践的な解説はぶっちゃけあまり充実していないと思います。

私も今回実施するうえで、めちゃくちゃ手探りで、めちゃくちゃ苦労しました……だし、たぶんやりたい人がいてもわけわかんないと思います。

それは良くないと思うので、とりあえず原稿を公開します。

 

acitivism debateの良さは、自分が間違っていると思ったことに対して「間違ってんだろ」ってストレートに言えることだと感じています。

世界がクソ、社会はシケ、政治はいつも間違っていて、「大人」はいつも硬直的で何もわかっていなくて、自分がなんでもいいからなんか言って変えてみたい。いや、変わらなくてもいいから、とにかく言いたい。言ってやりたいことがある。お前ら話を聞け!

そんな気持ちを抱くことって多分おおいと思います。ディベーターなら特にそうだと思います。

そういうときに、ディベート聞きに来ている人の中にもきっと存在するだろうつまんない大人、窮屈な教員、シケた同世代、何もわかっていないジャッジ、間違っている親、率直な言葉を届けられるっていうのがactivism debateの良さなんじゃないかなって勝手に思っています。

 

でも、そういう思いを抱いていながらも、今の日本語のディベートがゴリゴリに凝り固まっていて何したらいいかわかんないよってなってしまう人のために、原稿を公開しておきます。

いつか理論的、実践的なことを実際にやってみた身として書ければと思うのですが、時間がないので一旦は原稿で許して下さい。

 

下記に、改めて大会でacitivism debateをやった背景(前記事のコピペ)とともに、リンク貼っておきますね。

背景

2020年秋のJDA大会ではJDA会員による投票で、下記の論題が採択されました*1

「日本は、国会議員の一定数以上を女性とするクオータ制を導入すべきである」

私は元々この大会に出るつもりでしたが、発表された論題を目にしたとき、昔ある女性ディベーターがファミレスで私に話してくれたことをふと思い出しました。

昔と言っても既に数年前です。決して彼女の言葉通りではありませんが、彼女はこんなことを私に話してくれました。

「女性の政治参加をこの前の大会で論じたけど、観客もジャッジも選手も私たち以外は全員男で、本当にこの人たちは女性の政治参加の重要さだったりを分かってくれているのかな」

数年前に耳にしたこの言葉がなんとなく胸に残り、選手として出場することを決める前にもう少しこの言葉と向き合わなければならない気がしたのです。そうして私なりに考えた結果、まずは女性ディベーターの方にいまのディベートの世界がどう見えているかを聞いてまわることにしました。

話を聞けば聞くほど、少なくない女性の方が、いまの日本語ディベートコミュニティは女性にフレンドリーだと必ずしも言えないと思っていることが分かってきました。そして女性の方々の思っていることを、女性の方々の言葉を、自分なりのやり方で皆に伝えられないかと考えるようになりました。

そうして私は大会に選手として出場し、試合では「いまの日本語ディベート界がいかに女性抑圧的か」を論じました。論題である「国会のクォーター制」の議論はせずにディベート的に言えばkritik、中でもactivisticなk affで戦ったわけです*2

多くのディベーターが試合に向けて政治学の教科書や経済統計を紐解きます。同じように私も試合に向けて「ディベートにおける女性抑圧」について、女性の話を聞き、資料の調査をしました。そして多くのディベーターと同じように、試合でたくさんの反論や疑問をもらうことで自分の主張を再考し続けました。

 

原稿へのリンク

質問があったら、とりあえずこのブログのコメント欄に捨てアドでいいので載せてもらえたら連絡します!

コメント欄に直接質問書いてくれてもいいんですけど、しゃべったほうが早いよぉって思っちゃうのと、書くのは時間がかかるというのとで返事遅くなっちゃうと思います……すみません!!

というわけで、せっかくインターネット使えるならmeetとかzoomでささっと話しちゃえれば幸いです!!!

ジャッジングフィロソフィーを書いてみたよ

ジャッジングフィロソフィーを書いてみました!

こんな感じでみんなも気楽に書いてみてください!😊

 

※自分の名前を書いていないのですが、現状では私の名前がわかるような人くらいしかフィロソフィーなんて気にしないと思うので一旦このままにしておきます

分からないところあったら試合の前に質問して下さい!

 

ディベート経験

  • 選手として取り組んだ試合の95%は日本語準備型ディベートです。あとの5%は英語もしくは日本語での準備型や即興型の試合です
  • 具体的な選手歴は下記のとおりです
    • 2009-2013 東海中高の学生として、ディベート甲子園という大会に出ました
    • 2014-現在 特に所属はなく、色々な人とJDAという団体の大会にたまに出ます
  • ジャッジとしては、5年ほど前から学生の日本語ディベートJDA大会で機会を頂いています

 

以下にジャッジングフィロソフィーを記します。ただ、私にとってあくまでも初期の推定です。もし試合中に選手からジャッジングの方法や考え方に関する議論があり、それに納得したら、もちろん下記に書いてある考え方を変更することもあります。

 

ディベートの捉え方

  • ディベートは議論することを通じて、みんなで色々なことを学ぶ場所だと思います。もちろんそこは社会を変える場所であってもよいです
  • 私自身、ディベートを通じて得られた知識や教訓、考え方が自分の人生や私の周りの社会に大きく影響してきたと感じているので、ディベートは単なるゲームもしくは社会から隔離された実験室だ」と言われても、納得しづらいです

 

フレームワークパラダイム

  • 広義の意味での政策形成パラダイムに推定(presumption)をおいています。「広義の意味」とわざわざ書くのは、私は「いまこの瞬間政策を決める最高権力者」としてではなく、「国政を考える市民」として議論を評価するからです例えば何百万人が助かろうと、価値観や考え方に重大な問題を孕む政策には投票しない場合も全然あります
  • このパラダイムと異なるディベートのやり方が肯定側から提示された場合は、納得した範囲においてそれを採用します。もちろん否定側はこれに対して挑戦できます
  • なおk affについては割と採る方だと思います

 

レイトレスポンスとニューアーギュメント

  • late responseの判断は他のジャッジと比べて少し厳しい気がしています。例えば下記2点のように考えています
    • 立論や第一反駁で誰も触れなかった質疑について、急に第二反駁で話をされても判定に考慮できません
    • 「立論のこの部分は具体例がわからなくてイニシャルで立ってない」といった立論の内容をそれ単体で評価する議論を第二反駁で新しくされてもあまりとれません(もっと早く言えば相手も具体例を出せたかもしれませんので)

 

トピカリティとk aff

  • トピカリティの基準はbetterです。また、1ACが終わった瞬間はaffの解釈を採用します
  • (肯定側の人へ) 論題を字義通りには解釈しなかったり、そもそも肯定しなかったりといったk affをやる場合は、affの論題に対するその姿勢がなぜ重要なのかを試合の中できちんと説明してほしいです。なお、第一立論の段階では軽く説明してもらえれば大丈夫です(要するに、なんか説明してくれればイニシャルで切るとかはしないってことです)
  • (否定側の人へ) topicalityは第一立論で出してほしいです。1NCで出せたtopicality2NCで出されても採れないと思います。また、伝統的なtopicalityを意図的に無視しているk affに対して辞書の定義をわざわざ引用しないで下さい。一言、「辞書的に考えるとaffは論題を肯定していません」とかで済ませて、伝統的なtopicalityがいいのか悪いのかをしっかり議論してほしいです

 

メリット・デメリットを比較するディベート

  • (基本はresolution focusですが)affが具体的なplan1つ肯定すれば、それで論題も肯定できることにしています
  • 否定側は上記の点について挑戦する余地が十分にあると考えています

 

クリティーディベート

  • 私の考える政策形成パラダイムは「国政を考える市民」として議論を評価するので、価値観や前提についてのクリティークを、求められれば相手のAD/DAと同じ土俵で評価しますクリティークを出す時に必ず試合の外への影響を説かないといけないとは思っていません
  • クリティークを出す側はリンクをきちんと説明して頂けると助かります。クリティークの幅広い領域をカバーできているわけではないので、内容について噛み砕いて説明して頂けると助かります。フーコーの系譜にいる思想家ならちょっとアクセル踏まれてもわかるかもしれませんが、やはりおさえめでお願いします
  • 立場に一貫性が見いだせないパーミュテーションは採りません。例えば、オルタナティブが特定の考え方を説いている時に、その考え方に反するプランをオルタナティブと同時に採用することはできません(たまに採用するジャッジの方がいるので、一応明記しておきます)

 

その他

  • ディベーターを罰するという理由で投票を決める議論も採ります(言語クリティークなど)
  • 立論で引用された資料を一字一句書き取るわけではないので、細かな数字や前提、語句が後でポイントになるようでしたら、初めから少しフローに落とせる余裕を作って頂けると助かります正直、統計資料のメモをとるのは他の人よりも苦手です

女性ディベーターの少なさは何を引き起こすか。私たちに何ができるか

 

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Morooka "Gender Diversity in Debate in Japan: An Examination of Debate Competitions at the Secondary and Tertiary Levels"より、2015年から2016年における日本国内ディベート大会での出場選手の男女比率に関する調査結果の一部

この記事では、何が話されているのか

この記事はディベート界における女性の少なさについて考えるものです。

具体的には、なぜディベートの世界には男性(に見える人)が多いのか、女性ディベーターの方々はどう思っているか。そして、女性ディベーターやジャッジを増やすために何ができるか――要するに女性ディベーターが少ない原因、少なさが引き起こす問題、そして解決策という3つのことを考えていきます。

女性ディベーターに話を伺ったり資料を調べたりという中で、色々なことを知りました。そして自分なりに様々に考えてみました。私は自分が知ったことや考えたことを、皆さんも知っているべきだとおこがましくも考えています。これを読んだ方がディベートのコミュニティについて考えて、何かが変わっていくことを切に願います。

なお、この記事について悔いが残る点があります。それは、ここでは女性についてのみしか取り上げられなかったことです。
本記事の問題意識は女性という属性の文脈のみに限られることではなく、他のジェンダーセクシュアリティもっと言えば人種や使用言語など、いわゆる「マイノリティ」と呼ばれうる属性の方々に一般に当てはまることだと思います。しかし今回は後述の背景もあり、一旦は女性ディベーターの少なさについてのみを話すこととさせて頂きます。

ディベートコミュニティがあらゆる人にとって居やすい空間になっていくために、本記事が今後、様々な議論のきっかけになれば幸いです。

 

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クリティークってなに!?~よくわかるクリティーク解説~

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準備型ディベート(academic debate/policy debate)におけるクリティークの作成や反論、判定のための基本知識をまとめました!

3要素から反論の基本まで、網羅的なガイドです。

 
各セクションでは最後にまとめをつけています細かいことが分からなくても、いったんはそこを理解すれば試合ができるはずです!
 
それでは楽しんでいきましょう!!!なお、質問があったらこちらまでDMを送ってください!時間のある時にのんびり返事をしようと思います。
 
長い記事ですが、以下の目次から興味のあるところや必要な部分を読んでみてください。もちろん全部読んでいただいてもかまいません!
 
なお、脚注にかなり力を入れています。脚注もぜひ読んでみてください!
 
なお、この記事は、CoDA全日本NEWS上で2020年10月から連載された「クリティーク解説」を筆者(CoDAジャッジの佐藤可奈留)が大幅に再編、加筆したものです。
 
 
  • 1. クリティークってなんだ??
  • 2. 具体的にはどんな議論があるの??
    • 2-1. 相手の議論の内容について論じるもの
    • 2-2. 現在のディベートディベート界の在り方を論じるもの
    • 2-3. 政府以外の立場に則って論題を肯定するもの
    • 2-4. 相手の行動や発した言葉を批判するもの
  • 3. なんでクリティークをやるの?
  • 4. クリティークはなにでできているの??~基本の3要件~
  • 5. ディベートが世界を変える!?~アクティビズムディベート入門~
    • 5-1. アクティビズムディベートって何??
    • 5-2. 審判は何のためにそこにいるのか?~ロール・オブ・ザ・バロット~
    • 5-3. ラップするディベーター?ディベートするラッパー?~多様なコミュニケーション様式~
    • 5-4. 論題をどう読んで、どう肯定する??~k affの論題へのスタンス~
    • 5-5. ディベートってどうあるべきなの??~フレームワーク
  • 6. クリティークがきた!どうしよう!?~反論の仕方~
    • 6-1. その指摘は当てはまらないよ~リンクを外す~ 
    • 6-2. むしろいいことだと言ってみよう~ターンアラウンド~
    • 6-3. それじゃ何も変わらないよと言ってみよう~オルタナティブの無効化~
    • 6-4. クリティークをクリティークしてみよう~カウンタークリティーク~
    • 6-5. ROTBとフレームワークも議論しよう
  • 7. さあ試合で議論してみよう!!~実践編~
    • 7-1. どうやってリサーチしよう??
    • 7-2. フレームワークやROTBについて資料を用いて議論してみよう
    • 7-3. 日米でクリティークの受け取られ方が違う?
    • 7-4. 試合の前に、ジャッジの立場をはっきりさせよう!
    • 7-5. 3要素を意識して議論・判定しよう!
    • 7-6. リンクを分かりやすく伝えよう
    • 7-7. オルタナティブが何を議論しているのか明確にしよう
    • 7-8. 相手の議論を積極的にkritik outする
  • 8. おわりに
  • 9. クリティークについての参考文献
    • 書籍
    • ブログ
    • その他のインターネット上の情報